楽器のメインテナンス [雑学]

楽器のメインテナンス方法は人によって(または教則本によって)色々な説があり「どれが正しいのだろう?」と悩んでしまう方も多いと思います。

楽器を制作しているメーカーが提示しているメインテナンス方法は”楽器の性能を維持し良いコンディションを保つ”事を目的としています。
良く分からない場合はこれに従うのが(保証等の問題も考えると)一番無難だと思います。

しかし、プロや楽器歴が長いアマチュアの中にはこれとは違うメインテナンスをしている方が沢山います。
私もその一人です。

これには理由があるのです。

仕事で演奏していると過酷な状況で演奏しなければならない事が沢山あります。
楽器製作者の方々が想定していない様な状況も沢山あると思います。
そう言う中で演奏しているとメーカーが提示している方法でメインテナンスが出来なかったり、その方法では楽器のコンディションを保てない事も多いのです。
そこで皆自分に合った方法を工夫して行くのです。

その工夫の仕方は自分でアイデアを出す事もあれば、人から聞いた方法を試し自分に合った方法だけを組み合わせる事もあります。
こうなるとメインテナンス方法は”人の数だけ有る”と言っても良いでしょう。
そして他人に良い方法が必ずしも自分にも合っているとは限りません。
最終的には自分で自分に合った方法を捜すしかありません。

その際、次の事に気をつけると良いと思います。


○性能の維持
これは当たり前の事なのですが、色々と工夫している間に忘れてしまう事が結構あります。
何の為のメインテナンスなのか忘れない様にしましょう。

私が行っている方法の一部を書き出してみます。
・コルクやタンポ等消耗品には(極力)手を付けない。
・緩み易いネジにはトップコート(透明のマニキュア)を塗っておく。
・オイル切れのチェックやオイルさしはプロ(リペア)に任せる。
・ネックのコルクには絶えずグリスを塗っておく。
・ネックと本体のジョイント部にはグリスを使わない。(ロウを使う)
etc.

一番良いのは仲の良いリペアの方を作り定期的に(悪い所が無いか)チェックしてもらう事です。


○湿度の管理

コルクやタンポ等は湿度の影響を受け易いので特に注意する必要があると思います。

私はカメラ用の除湿剤を楽器ケースに入れています。
普通の乾燥剤の中にはただ湿気を取るだけの物があります。
乾燥のし過ぎも楽器には良くないのでこれは避けた方が良いでしょう。
その点、カメラ用の除湿剤は湿度を50%前後に保ってくれるので丁度都合が良いのです。
なんと言っても楽器用の物と比べて安いのが魅力です。[わーい(嬉しい顔)]

掃除棒の様な物を楽器に入れてしまう方がいます。
この場合は湿度によって使い方を変えると良いでしょう。

湿度が高い時は楽器の風通しを良くしたいので掃除棒は使わない方が良いと思います。
掃除して湿った掃除棒を入れっ放しにする事は楽器にも良くありません。
反対に湿度が低い時(乾燥している時)は掃除棒が楽器のコンディションを維持してくれます。


○衛生面への配慮

マウスピースやリードは直接口に触れます。
楽器は直接口に触れる事はありませんが、楽器に触れた指でリードを付けたりするので衛生的な方が良いと思います。

楽器の手入れに薬品等を使う場合は万が一口に入っても良い物かチェックする様にしましょう。
私はアルコール入りのウェット・ティッシュを持ち歩き、必要に応じて掃除する様にしています。
管体の中に発生するサビ(緑青?)はあまり心配要らない様です。


○その他

スワブはその形状によって使い方を変えましょう。
重りが付いている方と反対側にも紐が有るタイプのスワブはベル(太い方)から通しても構いませんが、重りが付いた方にしか紐が無いタイプのスワブを使う場合は必ずネックが付く方(細い方)から通す様にして下さい。

万が一スワブが引っかかった時無理矢理引き抜くと楽器の性能を落とす事になり兼ねません。
その場合も反対側に紐があれば簡単に抜く事が出来ますし、細い方から入れれば外側で引っかかってくれるので抜くのも用意だからです。
1本しか紐が無くても元々ベルから入れる様に設計されたものは勿論ベルから入れて構いませんが、念の為引っかからない様に気を付けた方が良いと思います。

ネックにスワブを通す場合も同様の配慮をして下さい。


また、マウスピースにスワブを通すと”削れてしまうから”と言ってスワブを通さない方がいます。
厳密に言えばそうなのでしょうが、吹いた時リードが当たって削れる量や、早いスピードの息が長時間通った時に削れる量に比べれば微々たる物です。

ゴミ等が付着してマウスピース本来の性能が発揮出来なくなったり、カビ等が派生して不衛生な状態で吹き続けるよりは吹き終わった後スワブを通して水分を除去した方が良いと思います。


一応参考にしてもらう為に私の意見を付け加えさせて頂きましたが、考え方は人それぞれです。
性能の維持、湿度の管理、衛生面へ配慮を考えて自分に合ったメインテナンス方法を捜してみて下さい。

休符って休み? [雑学]

休符は休みだと思っている人は多いのではないでしょうか?

しかし、そう考えると理解出来ない楽譜の表記の仕方や演奏は沢山あります。
日本語に良い表現の仕方が無いので仕方無く「休」と言う字を使ったのでしょうが、これが誤解を招く原因になっているのかもしれません。

休符は”音が無い音符”と考えると理解し易いと思います。

英語には「無い物がある」と言う表現があります。

 I have no time.(私は無い時間がある)
 I have no money.(私は0円持っている)
 Nobody is there.(そこには0人居る)

あまり良い文例ではありませんが、これで少しはイメージが湧くでしょうか?

同じ様に休符も考えると演奏の幅が大きく広がると思います。
つまり、休符は「休み」ではなく音符の一つだと考えるのです。
ただ、他の音符と違って音が無いだけなのです。

音が無いだけで他の音符同様演奏する事には変わりありません。



休符を休みだと考えると気持ちも身体も一旦リラックスしてしまいます。
次に音符を吹く時にどうしても沢山の作業が必要になりロスが出来てしまうのです。
これが演奏に大きく影響します。


休符を休みだと考える事は車で言うとエンジンを切ってしまう様な物です。
次にスタートするには沢山のパワーが必要になるのです。
この例えの場合、エンジンはある程度の回転をさせておいてブレーキで止まる程度が休符と言う事になります。
これならばロスは最小限にする事ができます。


私はレッスンをする際、休符に曲の流れを壊さない音を入れて練習してもらい奇麗な曲の流れが出来てから休符の部分で音を無くして演奏してもらう様にしています。


是非、休符も他の音符同様演奏する様にしてみて下さい。

リードはゴルフのクラブ [雑学]

多くの方々がリードで苦労しているのではないでしょうか。
私も苦労していますし「リードは何が良いですか?」と言う質問も良く受けます。

残念な事にどんな場面でも使えるリードと言うのは無い様です。
今のところ演奏する会場、音量、音色等色々な事を考えて選んで行くしか有りません。
この選ぶ能力も演奏技術の一つなのです。

つまり、リードは”野球のバット”ではなく”ゴルフのクラブ”と同じ様に考えると良いと思います。
野球では自分の体格、フォーム等に合わせてバットを選び、それ1本(同じタイプのバット)で試合に臨む方が多いと思います。
しかし、ゴルフでは幾つものクラブを使い分けますし、その選択の善し悪しも試合の結果に大きく影響します。
リードも同じ様に考えた方が良いのです。



本当はマウスピース、リード、リガチャーをセットで使い分ける方が良いのですが、この場合組み合わせはとんでもない数になってしまいますし、技術的にも難しい事が多くなってしまうので始めはリードを使い分ける方が良いと思います。


クラシック系の音楽で使う場合はフレンチ・カットのリードから選ぶと良いと思います。

吹奏楽で使うなら音程や音色のコントロールがし易い柔らかめのリードが良いでしょう。
ソロがある場合はある程度音量が出せる様に若干(0.5程度)硬めのリードにすると良いと思います。

コンチェルトなど伴奏をバックにソロを吹く場合は音色が安定する若干硬めのリードが良いでしょう。

アンサンブルの場合は組み合わせる楽器によって選び方が変わりますが、同族楽器だけのサックス・アンサンブルでしたら音色が安定する硬さで音程等のコントロールし易いリードを選びます。


ジャズ系の音楽で使う場合はアメリカン・カットのリードから選ぶと良いと思います。

ただ、ジャズの場合皆さん様々なタイプのマウスピースを使うのでクラシック系の様に簡単には行きません。
まず好みの音色のリードを選びますが、この時マイクで拾った時の音色が良いリードと生音で響きが良いリードの2タイプを選ぶと良いと思います。

ジャズと一口に言ってもフュージョン系やポップス系はクラシック系の音楽と同じ様なリードを選んだ方が良い場合も少なくありません。
また、最近はリードのカットも多様化していてフレンチ・カットとアメリカン・カットの中間(良いとこ取り)の様なリードも出て来ています。
更に選択は難しくなっています。



自分自身で色々なリードを試すのも良いのですがリードは結構高額なのでこれもちょっと勇気が要ります。
やはりプロ等専門の知識を持った人にアドバイスしてもらうのが良いと思います。

良心的な楽器店では色々なメーカーの色々な硬さのリートをセットにして売っている事があります。
まずはこう言う物を試しに購入してリード選びの参考にするのも良いですし、バンドに所属している方でしたら皆で分担して購入しても良いでしょう。
例えば5人で違うタイプのリードを5箱購入し、それぞれ(5種類)を2枚ずつでセットにして分けるのです。

色々と試していると頭が混乱して分からなくなってなってしまうと思いますが、そう言う場合は自分自身に取ってメインの演奏場面に合ったリードをまず選び、それを基準に他のリードを選ぶと良いと思います。


但し、いつも”吹き易さ”でリードを選んでいる人の場合はアンブシュアに柔軟性が無くなっている場合が少なくありません。
この様な場合はリードの使い分けは困難です。
しかし、このままでは高い技術を身に付ける事は難しいのでアンブシュアの柔軟性を身に付ける為にもリードを使い分けてみる事をお勧めします。

この様な場合はタイプを変えるのではなくいつも使っているタイプと同じリードの堅さを変えてみる事から初めてみましょう。
経験では0.5〜1程度柔らかいリードを使ってみると良い様です。


現在は沢山の種類のリードが販売されているので(一部のリードだけを使うのではなく)これらを有効に使いましょう。
私には日本では人気がない(使う人が少ない)リードの特売コーナーは宝の山に見えてしまいます。(笑)

タグ:リード SAX

練習場所 [雑学]

趣味で音楽を楽しむ方々が苦労する事の一つに「練習場所」があります。

自宅に防音室を作れれば良いのですが、防音室は高価な上思った程効果が出ないのが現状です。
そこで音楽スタジオを借りるのですが、音楽スタジオではプロやセミプロのバンド練習をしている事も多く「敷居が高い」と感じてしまう人も多い様です。
また、定期的に利用している人も多く急に練習したくなっても部屋が空いていない事も少なくありません。

そこでお勧めしたいのがカラオケ・ボックスです。

音楽スタジオには駐車場が無い所も多いのですが、カラオケ・ボックスは殆どが駐車場完備です。
サックス等の大きな楽器を持って行くには駐車場があると言うのは大変助かります。

今迄多くの生徒さんが練習場所として利用していますが、断られたと言う話は1度しか聞いた事がありません。
その1度もアルバイトの方が勘違いした様で、次からは大丈夫だった様です。

ただ、グループでの使用となると色々と問題がある様ですので、あくまでも個人練習の範囲での利用が無難です。
カラオケの曲の中にはキーを変えると(トランスポーズを利用すると)サックスの練習に使える物も多く工夫次第では結構快適な練習場所となります。

レパートリーの中に「インスト・バック」なんて言うメニューがあれば楽器の練習で利用する人も増えると思うのですが・・・
この辺りのアイデアを採用して頂けるカラオケ・ボックスがありましたらアイデァ提供しますよ!

なんて事はしなくても沢山の方が(マナーを守って)使う様になれば自然と管楽器の練習等に使える環境は整って行くと思います。

年末年始、カラオケ・ボックスでサックスの練習をしてみては如何ですか?



タグ:防音室 趣味
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リガチャーはタイヤ? [雑学]

リガチャーにも色々な物がありますよね。

私が楽器を始めた頃はリード側に締めるネジが有るタイプが主流でした。
その頃私は自分なりの理論で逆締めタイプのリガチャーが自分に合っていると判断し使っていたのですが、何かある度に「そんな物使ってるからダメなんだよ。」と言われた物です。

勿論それらの注意された事は私自身の問題であってリガチャーには何も問題はありません。
きっと見慣れない物にアレルギーがあったのでしょうね。

また、逆締めが主流になったりスプリング・タイプが良いと言われたり、有名なプロが使っている物が流行ったり、金属が良いとか革が良いとか流行も有る様です。


これらは本当に違うのでしょうか?


仕事柄新製品が出ると試奏できる(職権乱用?)ので沢山のリガチャーをチェックしてみました。その経験ではそれぞれ明らかに違います。
また、この違いは組み合わせて使うマウスピース、リード、楽器によっても変わってきます。

ただその違いは極限状態で演奏した場合、つまりフラジオで吹き続けるとか、ppやffでの演奏とか特別な演奏をした時に大きな差が現れる程度の物です。

通常の使用では大きな違いはないと考えて良いと思います。


つまり車のタイヤと同じに考えると良いと思います。

タイヤにも安いものと高い物がありますが、近所に買い物に行く程度でしたらそれ程大きな違いはありません。
ところが高速道路や悪路で運転したり、急ブレーキを踏まなければならなくなった時など極限状態では高性能なタイヤは威力を発揮してくれます。

リガチャーもそんな風に考えてはどうでしょうか。


勿論バランスが悪いリガチャーは演奏に支障が出るので使うのは避けるべきですが、そうでなければ好みで使うのが一番良いのではないでしょうか。

楽器演奏はメンタルな部分も大きく影響します。
性能を追求するのも良いですが「このリガチャーを使うと音が良い。」と信じる事が出来たり「このリガチャーはオシャレなので使っていると楽しい。」と使っていて楽しいリガチャー等を使うのも一つの方法です。


こう言う事を言うと「いや、私は○○を使ったら明らかに吹き易くなった。」とか「音が変わった。」と言う人がいます。
それはそれで良いのです。
私は個人の印象を否定する気はありませんし、それが事実かどうか追求する必要も感じません。

大事なのはそのリガチャーを使ったら良い音が出たと言う事実なのです。


時々、音も聴かずに「そんなの使ってちゃ良い音が出ないよ。」とか「○○を使わなければダメだ。」と自分の好みのリガチャーを勧める人がいますがこれはやめるべきだと思っているのです。
低音から高音迄バランス良く良い音で鳴っていれば何を使っても良いのです。
自分に良かったから他人にも良いとは限りませんし、本人が気持ち良く吹いている物を否定すべきではないと思います。

もしアドバイスをするならば使う人が「これを使えば良い音が出そうだ。」と信じられる様な配慮をして欲しいと思います。

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Saxは木管楽器?それとも金管楽器? [雑学]

管楽器には大きく分けて木管楽器と金管楽器の2種類があります。
以前は木で出来ている(元々は木で出来ていた)楽器を木管楽器、金属で出来ている楽器を金管楽器と呼んでいました。

これで殆どの楽器を分類する事ができました。
フルートは金属で出来ていますが木管楽器です。
これは元々は木で出来ていましたし今でも木管のフルートもあるので上記の定義に当てはまります。

さて、Saxの場合はどうでしょう?
Saxの形や運指はクラリネットやオーボエ等と似ています。
クラリネットやオーボエは木管楽器なので木管楽器でしょうか?

Saxは最初から金属で出来ていましたし今でも金属で作られています。
それでは金管楽器でしょうか?

どちらとも言えないので「中管楽器だ!」なんて冗談を言う人もいます。[わーい(嬉しい顔)]


現在は木管楽器と金管楽器の分類は楽器の材質の違いではなく楽器の構造でしています。

管の長さをスライドやピストン(バルブ)等で直接変化させて音の高さを変える楽器を金管楽器と呼び、管体に穴を開け、その穴を塞いだり開けたりして音の高さを変える楽器を木管楽器と呼ぶのです。

この分類ですと現在使われている管楽器の全て(私が知る限り)はっきりと分類する事ができます。
Saxは管体に開けた穴を塞いだり開けたりして音の高さを変えるので木管楽器と言う事になります。

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