楽器を揃えると音も揃う? [定説を考える]

音を揃えると言う理由で楽器やマウスピース、そしてリードまで揃えてしまう話を良く耳にします。
では楽器を揃えると本当に音は揃うのでしょうか?

この答えを出すのは非常に簡単です。
皆さんが使っている楽器を二人以上のプロの方に吹いてもらって下さい。


まず驚くのが「これ自分の楽器?」と思う位楽器が鳴っている事でしょう。
そして別のプロに吹いてもらうと同じ様に楽器は鳴っているのに音色が違う事に驚くと思います。

つまり楽器の音色は演奏者個人が作るものなのです。
楽器を揃えても音色が合うと言う事はありません。

明るい音色を持った人が吹けばどんな楽器も(傾向として)明るめの音になって行きますし、柔らかな音色を持った人が吹けばどんな楽器も(傾向として)柔らかめの音色になります。

もし音色を揃えるのであれば明るめの音色を持った人には暗めの音色の楽器、柔らかな音色を持った人には硬めの音色の楽器、逆の人には逆の音色の楽器と言う様に一人々々違う楽器になるのではないでしょうか?

少なくとも楽器を揃えれば音色が揃うと言う事は無いと思います。

そもそもアンサンブルとは色々な音色の楽器を組み合わせて作って行く物です。
バランス良く鳴っていれば音色は違った方がアンサンブルをする上でメリットがある事も少なくありません。
ですから音色を(必要以上に)揃える事に神経質になる必要は無いと思います。


では音程はどうでしょう?
これはプロが楽器の選定(同じ機種)をしているところを見せてもらったり、自分と同じ機種の楽器を何本か吹いてみればすぐに分かると思います。
同じ機種ならば音色の傾向は似ていますが、音程に関しては楽器毎に皆違うハズです。

つまり楽器を揃えても音程が合うと言う事はありません。

仮に音程が全く同じ楽器が有ったとしましょう。
これらの楽器でユニゾンを吹けば音程は合うでしょうが、音域が違ったり(オークターブが違ったり)ハーモーニーになれば全く意味が無くなってしまいます。

それにアンサンブルをする際同じ種類の楽器だけで吹く事はありません。
サックス・アンサンブルでもソプラノからバリトン・サックス等同族でも違う種類の楽器を使いますし、吹奏楽では木管、金管、打楽器等沢山の種類の楽器でアンサンブルをする事になります。
一部の楽器の音程を合わせても意味がないのです。

音程は楽器が作るのではなく演奏者が状況に応じてコントロールするものなのです。


音程や音色を揃える為には一人々々の楽器コントロールが大切なのです。
その為には一人々々がコントロールし易い楽器を持つ事が大切になります。
これを強制的に揃えてしまうと人によってはコントロールがし辛い事も起こります。
コントロールし辛い楽器では音色も音程も合わせる事が難しくなってしまいます。
更に合っていない楽器、マウスピース、リードで身体を壊す事もあります。

そろそろ(安易な理由で)楽器を揃えると言う事はやめて欲しいと思っています。
プロが指導するのであれば楽器を揃える事を強制するのではなく、楽器をバランス良く鳴らし音程や音色をコントロールしアンサンブルする技術を教えて頂きたいと思います。

また、趣味で音楽を楽しむ方々にはそれぞれ事情があります。
音を揃える為と言う名目で高価な楽器を無理矢理購入させる様な事はヤメて頂いたいと思っています。
そんな事をしなくても音色や音程は合うのですから…

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