速いフレーズの練習 [定説を考える]

速いフレーズ(パッセージ)を練習する時皆さんはどうしてますか?

一番多いのが最初はゆっくり練習し、少しずつそのテンポを上げて行くと言う方法ではないでしょうか?
この際リズム練習等も併用する場合が多いと思います。

この練習方法は多くの方が利用していますし説得力もありますが、実際にはあるテンポからは速度が上がらない方が多いのではないでしょうか。
実はこの練習方法は速吹きが得意な人や元々吹けていたフレーズを練習する時には良いのですが、速いフレーズが苦手な人の練習方法としては問題があるのです。


スポーツ・トレーニングの知識がある人ならご存知でしょうが、筋肉には「速筋(白筋)」と「遅筋(赤筋)」があります。
速筋は瞬発力を引き出すのに有効な筋肉で無酸素運動の時によく使われます。
それに対し遅筋は持久力を引き出すのに有効な筋肉で有酸素運動の時によく使われます。

速筋のトレーニングは高負荷低回数が効果的で、遅筋のトレーニングは低負荷高回数が効果的です。
性質もトレーニング方法も全く違う筋肉なのです。


勘が良い方はもうお分かりですね。
ゆっくりから少しずつテンポを上げて何度も練習すると言うのは遅筋のトレーニングなのです。
遅筋は速い動きには向かない筋肉ですから、いくら一生懸命練習しても速度の限界はすぐにやってきます。
個人差はありますが♩(4分音符)=100〜110(1分間に100〜110回)の速度で16分音符を吹く位の速さが限界でしょう。

これ以上の速度のフレーズを練習する為には速筋を鍛えなければなりません。

速筋のトレーニングにはある程度の知識と工夫が必要になります。
また、高負荷低回数のトレーニングが効果的なのでダラダラと練習しても意味が有りません。
専門家の指導が必要になる訳です。

吹奏楽部等に所属している方で次の様な経験をした事はありませんか?
自分は毎日ゆっくりから一生懸命練習しているのに中々速いフレーズが吹ける様にならないのに、あまり練習していない友人が何度か合奏をしている間に何となく速いフレーズが吹ける様になっている。
その友人は才能があって自分は才能がないのではないか・・・

これもトレーニング方法の違いに寄る結果なのです。
これに関しては才能は関係ありません。 
ゆっくり何度も練習している人は明らかに遅筋のトレーニングをしているのです。
それに対し合奏で慌てて吹いている人はいきなり速く吹かなければなりませんし、その為に集中しているので(結果的に)高負荷低回数の練習をする事になります。
つまり速筋が鍛えられているのです。

これは分かり易く極端な例を上げただけですので「練習せず合奏だけ出ていれば上手くなる。」と言っている訳ではありませんのでお間違いなく!
確実に技術を向上させる為には練習は欠かせません。

このトレーニング方法は文章ではなく「教則本」または「教則ビデオ」と言う形でないと説明出来ないので、ここで詳しく説明出来ないのが残念ですし申し訳なく思っています。



少なくとも私のレッスンでは確実に効果が出ています。
中高生は勿論年配の方にも効果がありますので是非広めて行きたいと思っています。
講習会や単発のレッスン等も引き受けていますので興味が有る方は是非ご相談下さい。



音大生やコンクール常連校の生徒さんにもこの方法で飛躍的に技術が向上した生徒が沢山います。
ただ殆どの生徒さんが学校で指導を受けている先生に内緒でレッスンを受けに来ているので具体的に公表出来ないのが残念ですが・・・

公表できる話ではこんな事があります。

趣味でサックスを楽しんでいる方が音楽教室に入会しました。
奥さんも娘さんもピアノの先生をしている音楽一家の様です。
家族で音楽を楽しみたいけれども自分だけ技術的に劣っているし、定年になり時間も出来たので「一度習ってみたら?」と家族に勧められて入会したそうです。
しかし、本人は「この歳から習っても上手くなるハズが無い。」と半分諦めていました。

基礎的な奏法を半年位かけて身に付けて頂いたところで「今度はチック・コリアのスペインを演りましょう。」と提案しました。
スペインは速いフレーズが連続する難曲です。
本人は勿論家族も「絶対無理」と思ったそうです。

最初は曲を吹く為に必要な速筋のトレーニングをした為(本人も家族も)何の練習をしているのか分からず不安気で私に対する不信感を感じた事もありましたが、本人達に取って未経験の事をしている訳ですからこれは仕方がありません。
この生徒さんも不安は持ちながらも信じて続けてくれたので結果はどんどん出て来ました。
ある程度速筋のトレーニングが出来たところで曲の練習に入った所狙い通りの結果が・・・皆が無理だと思っていたテンポで曲が吹けたのです。

この日を境にこの生徒さんはレッスンにデジタル・レコーダーを持ち込む様になりました。
理由を聞くと奥さんと娘さんが私のレッスンを聞いて参考にしてくれているそうです。

このスペインは発表会で娘さんと共演と言う形で発表できました。



速筋のトレーニングは定番のトレーニングとは随分違いますし、体質改善に近い部分もあり時間がかかる事も少なくありません。
信じてもらう事が一番大切になります。
信じて戴けなかった生徒さんの場合はやはり上手く行かない事が多いですね。
まだまだ力不足です。




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